クリープハイプの「しょうもな」の歌詞の意味と解釈を考察していきたいと思います。
クリープハイプらしさがギュッと凝縮された疾走感とノスタルジックな楽曲をより深く味わっていきましょう!
概要
この曲は2021年8月23日に配信が開始されました。
テレビ東京水曜ドラマ「八月は夜のバッティングセンターで。」のオープニングテーマとしても使用され注目を浴びています。また、エンディングテーマには「こんなに悲しいのに腹が鳴る」も使用され、頭からつま先までクリープハイプ一色です!
このドラマは関水渚さんと仲村トオルがW主演を果たしています。
「ライフ・イズ・ベースボール」を合言葉に、「野球」というテーマを通して、人々の背中を少しだけ押していく、テレビ東京が描く、新感覚の“ベースボール・ヒューマンドラマ”です。
監督は「キケンナアソビ」のMUSIC VIDEOなどを手掛けるエリザベス宮地が務めました。
MVでは元ZOC香椎かてぃこと「KATY」がボーカルの尾崎世界観の熱望によって出演を果たしています。
年季の入ったアパートを舞台にKATYが文字を書きなぐったりタバコを加えるシーンが撮影されています。
クリープハイプの世界に見事にマッチしていて、双方のファンから最高の組み合わせだと絶賛されています!
コメント
注目を集めるこの曲に対してクリープハイプはこうコメントしています。
このような機会を頂けて、とても嬉しく思っています。
野球だけに限らず、もっとゾーンを広げて、生活を歌いました。
オープニングとエンディングで緩急をつけて、少しでも作品の力になれるよう、精一杯頑張ります。
それではポイントと共に歌詞を見ていきましょう!
- 近頃の世の中ってこうだよな
- 世間じゃなくてあんた個人に言ってんだぜ
- いつかこんな言葉が世間に届いて欲しい
歌詞
馬鹿だなってよく使うけど それもう古いって知ってた
愛情の裏返しとかもう流行らないからやめてよだけど キスしたらスキ お別れをわかれ
坂の途中で傘を広げて
抱き合う体 だから浮気だ
糸にほど遠いそれはただの線もう何もかも振り切るスピードで意味ないこの音の連続で
今は世間じゃなくてあんたにお前にてめーに用がある
言葉に追いつかれないスピードでほんとしょうもないただの音で
あたしは世間じゃなくてお前にお前だけに用があるんだよ空にキラキラお星様 きっとあなたも見てるよね
は? こんなクソみたいな詩で一体何が伝わるんだろうまさか逆さま これまだやるの
だから言葉とは遊びだって言ってるじゃん
ただの砂場だ ガタガタ言うな
カサカサ鳴らすただの枯葉だよもう何もかも振り切るスピードで意味ないこの音の連続で
今は世間じゃなくてあんたにお前にてめーに用がある
言葉に追いつかれないスピードでほんとしょうもないただの音で
あたしは世間じゃなくてお前にお前だけに用があるんだよ神様どうか こんな言葉が
作詞/作曲:尾崎世界観
世間様にいつか届きます様に
神様どうか こんな言葉が
世間様にいつか届きます様に
歌詞考察
一番
馬鹿だなってよく使うけど それもう古いって知ってた
愛情の裏返しとかもう流行らないからやめてよ
ここでは世間に向かって尾崎さんの想いが語られています。
巷で流行っている曲ってどこかで聞いたよなってフレーズ多くないですか?
「馬鹿だな」とか「強くなる」とか過去の偉大な曲で評価されたフレーズをこねくり回している気がします。
同じように愛してるって直接言わなくても分かるよねとか、亭主関白なんかも過去のものです。
過去の価値観に縛られている大人たちはやはり多いです。
私たちは今に生きている。
だからこそ今の世の中にあった生き方があるはずです。
だけど キスしたらスキ お別れをわかれ
坂の途中で傘を広げて
抱き合う体 だから浮気だ
糸にほど遠いそれはただの線
ここは言葉遊びが楽しいですよね!
韻の踏み方や回文が最高で1フレーズごとにグイグイテンション上がっていきます笑
「キス」⇔「スキ」
「お別れ」「をわかれ」
「坂」⇔「傘」
極めつけは「抱き合う体」。これをひらがなにすると「だきあうからだ」
反対から読むと「だらかうあきだ」→「だから浮気だ」
語呂が良くて聞いていて気持ちいいです!
これも世間に向けてのメッセージだと考えます。
古いと分かっていても、ダメだと分かっていても抗えない部分があるのです。
中島みゆきの「糸」という曲がありますがあれは二人の深い愛を糸に例えた名曲です。
ただ浮気だキスだなんてのは深い愛とは言えない。
不純な愛はチープで細いただの線なのです。
もう何もかも振り切るスピードで意味ないこの音の連続で
今は世間じゃなくてあんたにお前にてめーに用がある
言葉に追いつかれないスピードでほんとしょうもないただの音で
あたしは世間じゃなくてお前にお前だけに用があるんだよ
急にアクセルを目一杯踏み込んだような疾走感がたまらないサビです。
クリープハイプの自分達の声や音が世界中全ての人間に届く訳ではありません。
これまでの世間に向けた皮肉ともいえる表現は大多数は聞く耳を持たず、意味がないと思ってしまいます。
だからこそ、この曲を聴いている人だけでも自分達の想いを受け取って欲しい。
世間と揶揄するけど世間を作っているのも聴いている「てめー」なんだ。
「あんた」、「お前」、「てめー」と首根っこを掴んで徐々に力をグッと入れられているような迫力があります。
二番
空にキラキラお星様 きっとあなたも見てるよね
は? こんなクソみたいな詩で一体何が伝わるんだろう
これも世間を揶揄した言葉です。
中身の無い、伝えたい想いが無い曲になんの意味があるのか。
どこかで聴いた薄い言葉。クリープハイプが伝えたいのはそんな言葉じゃ伝わらないのです。
そんな薄い歌詞を書く人間を馬鹿にするようですが、これを聞く私たちも例外では無いのでしょうか。
そういった薄い言葉が世の中に広がるのはそれだけ需要があるからなんですよね。
特に若い人には物事をエモいの一言で完結してしまう人は多くいます。
もっと言葉は自由で十人十色。感じ方も人それぞれのはずなのにそれを汲み取らずに言語化を放棄して一つの言葉でまとめるのは悲しいものです。
少なくともこの記事を見てくれているあなたは「エモい」で終わらせたくないから探してくれたのかなと思って感謝します。

ワイも言葉の美しさを伝えたくてここにいるんや!
まさか逆さま これまだやるの
だから言葉とは遊びだって言ってるじゃん
ただの砂場だ ガタガタ言うな
カサカサ鳴らすただの枯葉だよ
一番でもあった、韻を踏んだり回文を作ったりはまさしく言葉遊びです。
でも尾崎さんにとっては言葉全てが遊びなのです。
自分達の音を意味がないと言うぐらいで、言葉も遊びみたいなもので大きな意味を持っていないと思っているんですね。
遊びなんだから、その発言がいいとかダメとかそんな言葉で縛り付けんな。
つまらない一部の世間がうるさいなって皮肉も込められています。
もう何もかも振り切るスピードで意味ないこの音の連続で
今は世間じゃなくてあんたにお前にてめーに用がある
言葉に追いつかれないスピードでほんとしょうもないただの音で
あたしは世間じゃなくてお前にお前だけに用があるんだよ神様どうか こんな言葉が
世間様にいつか届きます様に
神様どうか こんな言葉が
世間様にいつか届きます様に
自分達の声が全ての人間には届かないって痛感しています。
だから神様に祈るしかないんです。
そして「自分達の声」ではなく「こんな言葉」という
自分達のことはしらなくてもいいからこういう想いがあるんだっていう熱くて強烈な気持ちが伝わります。
ネガティブな報道や全てを正そうとするSNS。疑問が残る行動を繰り返す政府に対しては声を上げない人々。
そんな世間が少しでもいい方向に向かって欲しいという叫びと、どうしようもできない無力さと祈りを感じてしまうから、
聴いていて少し胸が苦しくなるのかもしれません。
おわりに
クリープハイプらしく言葉遊びが楽しくてサビの疾走感がたまらない楽曲でした。
世間に向けた叫びと他人事では聞き流せない、目の前で直接語りかけられているような躍動感がすごかったです。
聴く者を惹きつける尾崎世界観さんの頭の中を覗いてみたいという方は芥川賞候補に選ばれたこちらをチェックしてみて下さい
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